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黎明寮事業計画

令和6年度黎明寮事業計画

1 施設の運営方針

(1)入所者支援 

   黎明寮は、地域共生社会の実現といった国の方針を念頭に置き、利用者の希望する生活の実現に向け、日常生活自立支援(規則正しい生活リズムの確立)を基本に、利用者に寄り添った支援を進めていく。

具体的には、利用者の力を引き出すために、個別支援計画について福祉事務所等と情報共有を図りつつ、連携して個々の具体的支援を推進する。

また、地域移行を希望する利用者に対しては、居宅生活訓練により地域で生活していくための様々な生活課題の整理と解消を図り地域移行を実現する。

   具体的には、個別支援計画に基づく支援、日常生活自立支援と医療機関との連携、日中活動の支援、地域移行への支援を行っていく。

 

(2)地域移行を実現した通所事業利用者(黎明寮退所者)支援

   訪問及び通所による相談支援等並びに「はじめの一歩」及び「たっぷほっぷの会」といった地域生活定着・継続を目的とした社会生活自立支援を組織的に推進し、地域で生活する利用者のあたりまえの普通の暮らしを守っていく。また通所事業利用者の高齢化が進んでおり、介護等の社会資源の活用や生活の安全を積極的に支援していく。

   具体的には、体験宿泊や居宅生活訓練事業、保護施設通所事業等を行っていく。

 

(3)感染症(新型コロナウイルス・インフルエンザ等)防止対策

   新型コロナウイルス感染症は、現在、感染症法ではインフルエンザ等と同等の5類感染症に位置付けられているが、施設においては、高齢で基礎疾患のある利用者が多いため、状況が好転するまでの間は、集合指導及び個別指導を行い感染防止対策の履行を引き続き徹底する。また、インフルエンザ、感染性胃腸炎など他の感染症に対してもクラスターに発展しないように初動対応を徹底する。

職員に対しては、感染症が黎明寮に及ぼす影響及び医療提供の状況等を説明し、勤務外も含め感染防止対策を継続する。また、陽性者が発生した場合は、直ちに新型コロナウイルス感染症に関する黎明寮感染症事業継続計画(BCP)に基づき特別体制に移行する。

具体的には、感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針に基づき、コロナ等感染症対策防止・業務改善委員会を中心として対応を図っていく。

 

【令和6年度重点目標】

  ・施設入所者常時100名以上を実現

  ・個別支援計画に基づき年間1~2名の地域移行を実現

  ・感染対策の徹底で感染者集団の発生を阻止

2 収支の安定確保

(1)稼働率の確保や加算の見込み

   東京都内の保護の実施機関(福祉事務所)及び関係精神科病院(10病院)と連携し、選ばれる救護施設として安定した運営を推進し、入所率102%及び常時数名の入所待機者を維持する。また、入所者の障害の重度化や要介護状況により東京都のサービス推進費の加算を積極的に取得し収入の確保に努める。

    さらに、入所利用者が地域での生活へスムーズに移行できるように居宅生活訓練事業を通じて単身生活のイメージをしっかりと身に着けてもらい、地域移行を進め通所事業の利用者を維持する。

 

(2)経費の見直しなど支出の節減について

   水道光熱費について、浴室のシャワーヘッドを節水型に交換することによる水道、ガス使用料の節減、また空調環境を適切な温度で管理することによるガス使用料の節減など、省エネ効果を意識し、昨年度に続き経費の節減を図る。

   また、物品購入、業務委託について複数業者からの見積を徴取することで、業務内容の見直しや価格等を比較し経費の節減を図る。

3 利用者の安全・安心確保とサービスの向上

(1)利用者支援

  ア 個別支援計画に基づく支援

    精神疾患を患った利用者の多くは、無気力や自信喪失を抱くようになり、生きる力を失ってしまうような状態に陥ってしまう危険性があることから、利用者の意向を尊重した個別支援計画を作成し、利用者が自ら考え動き、自信を取り戻し自身の力を発揮できるように利用者に寄り添った支援を行う。そして、利用者本人が希望する目標の達成に向けて、個別支援計画の具体的な内容を一つ一つ具現化しながら、その人らしい生活が実現できるように組織的に支援を推進する。

   また、国において個別支援計画の制度化の動きがあり、あわせて福祉事務所との連携強化の方向性が打ち出されているため、国の動きにあわせて対応を図っていく。

  イ 日常生活自立支援と医療機関との連携

    入所者の約9割が精神障害を、約2割が知的障害を有しており、これまで精神科病院や社会福祉施設で人生の大半を送ってきているため、先ずは日常生活の自立支援(身だしなみ・三度の食事・入浴・家事・清掃・整理整頓といった規則正しい生活リズムの確立、睡眠、健康管理、服薬、通院、買物、金銭・物品管理)を基本とする。また、精神障害を有する入所者はストレスへの脆弱性等から不安の訴えや幻聴、被害妄想による不穏な言動が日常的であることから、事故に発展する前に迅速な相談支援、臨時の精神科面接及び入院治療を前提とした精神科病院との連携により安全を確保する。

  ウ 日中活動等の支援

    日中活動については、レクリエーション活動は、利用者の心身の活性化及びコミュニケーションの促進に有効であることから、より多くの入所者に参加してもらえるよう多種多様な活動を提供する。また、感染拡大防止に留意しながら、外部のボランティアなどの社会資源を段階的に受け入れることにより、利用者の新たな日常の過ごし方を提案し、生活の選択の幅を広げていく支援を実施していく。

作業については、精神障害を有する者の特性(コミュニケーションが苦手など)を踏まえ、自分が受け入れられている、自分のペースで無理なく人と付き合える場であると実感してもらうことを主眼に、製袋作業などの単純な施設内作業と小平市から受託している公園清掃や小平市報の配布といった施設外作業を、健康に留意しながら継続して取り組んでいく。

 

  エ 地域移行への支援

    地域で暮らしたいという希望はあるが自信がなく踏み出せないという入所者に対し、黎明寮が借り上げたアパートで実際に地域での一人暮らしを体験してもらう体験宿泊(独自事業)を実施し、単身生活についてのイメージを構築することで居宅生活訓練事業への参加意欲の促進を図る。居宅生活訓練事業においては、これまでの日常生活自立支援では分からなかった様々な生活課題が顕在化するため、施設生活支援を担当するサービス課と地域生活支援課が連携し、課題整理のうえ1年から2年間の訓練により課題の解消に取り組み地域移行を実現する。具体的には、金銭や服薬の管理、居室の整理整頓、公共サービスの申請等社会生活能力を見極め、本人と課題を共有化し、地域生活移行に向けた社会資源の利用も視野に検討していく。

    地域移行後の単身生活においても地域生活の定着・継続について、保護施設通所事業(通所支援及び訪問支援)の対象者として、利用者一人ひとりの社会生活能力を見極め、一人暮らしの不安感を取り除き、日々生じる生活課題への対応や不安感の軽減等の伴走型支援を継続して実施していく。また、「はじめの一歩」、「たっぷほっぷの会」といった社会性の獲得・向上のための集合指導を行うことにより、あたりまえの普通の暮らしが続けられるような支援を引き続き行う。

 

(2)新型コロナウイルス等感染症防止対策

新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置付けがインフルエンザ等と同等の5類感染症になったが、高齢で基礎疾患を有する利用者が多い当施設においては、状況が好転するまでの間は引き続き感染対策を継続していくこととする。

令和5年度は、利用者の施設内感染と職員の家庭内感染が見られたが、初動対応として利用者は直ちに感染症エリアに移動し、また、職員は直ちに自宅療養を促すなどを徹底し、大きな感染者集団の発生には至らなかった。

令和6年度においても、新型コロナウイルス感染症等への感染防止対策は、基本的には、従前より変わらない対策を講ずることが肝要であり、利用者のストレスへの度合いを見極めながら引き続き、新型コロナウイルス等感染防止対策・業務改善委員会での決定事項に基づき段階的な緩和を行いつつ、クラスター発生に至らないよう対策の徹底を図る。また、感染症が発症した場合にあっても利用者が継続して適切な支援が受けられるよう、支援の継続的実施と非常事態からの早期の業務再開を図るための、「感染症に係る業務継続計画(BCP)」に基づき、非常時の支援体制による適切な対応を図っていく。

 

(3)福祉サービス第三者評価の受審

東京都福祉サービス評価推進機構が認証した評価機関による福祉サービス第三者評価を受審し、利用者支援の質の一層の向上を図る。なお、新型コロナウイルス感染症発生状況をみながら、可能な限り対面での受審を行っていく。

4 人材育成

サービス課長面談等を行い、職員自身が自らの目標を明確にした上で、目的をもって法人研修委員会主催の職階別研修、専門研修の受講及び職員本人が希望する施設外研修を受講することにより、必要な知識・技術の習得に努め、さらに施設運営に還元すべき知識・技術、情報を研修報告等で行い組織全体で共有する。

また、経験と専門性を積んだ職員によるOJTにより双方の育成を図っていく。

さらに、施設長が個別面談を実施し、目標の明確化や対人援助技術に関する助言指導を行う。

(1)施設内研修 

感染症及び食中毒の予防及びまん延防止研修、権利擁護研修、救命救急研修、防災研修、虐待防止研修、衛生管理研修、業務継続計画研修


(2)法人内研修会

管理職研修、係長級研修、勤続2年・3年目・4年目研修

 

(3)外部研修会

   関東地区救護施設研究協議会研修、労政事務所労務研修、救護施設福祉サービス研修会、感染症・防災業務継続計画研修、大人の発達障害研修、精神保健福祉研修、相談・支援力向上研修

 

5 施設利用者に対する虐待防止と権利擁護

(1)以下の項目について組織的に全職員が徹底して行う。

  ア 利用者の意向を尊重した個別支援計画に基づき、利用者に寄り添う支援に努めること。また、あらゆる機会(月例会、フロア懇談会、グループ活動、日中活動など)を通じ利用者の本音を聞く。

  イ ヒヤリハットなどについて、危機管理委員会を中心に速やかに事案を共有するとともに、マニュアルの見直しなど対応策を講じ、事故を未然に防ぐこと。

  ウ 力で制する支援(いわゆる不適切支援〔威圧的な態度や命令を含む。〕)は障害者虐待であること。障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した職員は、障害者虐待防止法に準じて通報が必要であり、うやむやにしない、放置しないこと。

  エ 虐待防止・人権擁護委員会より全職員に対し利用者の権利擁護に関する情報等の発信(スローガンの掲示など)をするほか、定期的に「障害者虐待防止・権利擁護チェックリスト」によるセルフチェックを呼びかけ、各自支援の振り返りを行うとともに、さらにこれを集計し組織運営上の問題点が確認された場合は速やかに改善に取り組むこと。

 

(2)苦情等対応マニュアル及び福祉サービス第三者評価の受審により、小さな疑問や要望を拾い上げ、利用者の満足度の向上を図る。

(3)施設の環境的・運営的閉鎖性や、被支援者(利用者)は立場上、意思表示がしにくいといった構造的課題に対応するため、オンブズパーソンを設置(2名〔うち 1名は弁護士〕)し、利用者の本音を拾い上げ、速やかに対応する。

 

6 修繕計画等

(1)令和6年度修繕計画

  ア 浴槽タイル修繕                                              500千円

  イ 食堂テーブル・イス更新                              500千円

 

(2)今後5年間の施設の整備・補修・機器入替等の購入

  ア 厨房温冷機更新                                            1,000千円

  イ 車両入替(1台)                                          2,000千円

  ウ 厨房食器洗浄機更新                                    3,000千円

  エ 揚水ポンプ交換工事                                    2,585千円

  オ 自家発電設備更新                                       30,000千円

  カ 2階・3階居室等の内装修繕                        20,000千円

  キ エレベーター装置の更新                            13,000千円

 

7 その他(新たな取り組み等)

  生活保護制度の見直しによる事業への影響と対応

  令和5年12月に社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会より「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する最終報告書」が示され、その中で、中間まとめを踏まえた現状・課題認識として、救護施設は入所者が抱える様々な生活課題に柔軟に対応し、可能な方については地域移行をさらに推進することが重要とされている。そして制度見直しの具体的な方向性として、保護の実施機関(福祉事務所)と関係機関との支援の調整や情報共有などを図るための枠組みとして会議体の設置を法制化する必要があることとし、会議体の構成員としては、地域とのつながりに関わる支援を行っている救護施設等を含めて検討する必要があるとしている。

  これを受けて国においては、厚生労働省社会援護局保護課より、救護施設等入所者の地域移行の推進等を図るための取組みとして、令和6年10月を目途に、保護の実施機関(福祉事務所)と情報共有を図りつつ、救護施設等の入所者ごとの個別支援計画の作成を制度化し、具体的な支援計画に基づく支援により地域へ移行した場合は、施設事務費の加算創設が打ち出されている。

  以上のことから、今後さらに、研修等の機会を通じて支援の専門性を高め、入所者の地域移行への支援に努めていきたい。

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